「…ふぁ……眠い…」

五月二十日。今日は久し振りに夢を見た

とても懐かしい夢だったけれど、二度とみたくない夢で忘れようとしていたモノだったから……また、見るんじゃないかと思って寝れなかった

それに、昨日の事もあって寝れなかったのもある

あの圭とかいう男に、何故か気に入られた事だ

…まぁ、その後は転かしてやったからもう近づいて来たりはしないだろうとは思うが

「…面倒くさい事になったな…;;」

「響?どしたの??」

「っ!莉子、なんでもないよ」

溜め息を吐きながら教室に入ると、丁度扉の近くに居た莉子に声を掛けられて私は慌てて誤魔化した

「てか、おはよ。莉子、珍しいね?私より早いって」

「はよー。違うよ、響がいつもより遅かったんだよ!」

「あれ?そうなの??」

「そうだよー。いつもはもう十分前には響来てたよ?」

「……あー、本当だ;;」

莉子に言われて掛け時計に視線を向けると、八時五分となっていた

私はいつも、七時五十五分には席についていたから今日は私の方が少し遅かったらしい

「…どうしたの?珍しいね?」

「うーん…ちょっと寝不足気味でね?頭がボーッとしてたみたい;;」

「大丈夫?」

莉子が心配そうに私の顔を伺うので、平気だと言って笑ってみせる

「あんまり無理しちゃ駄目だよ?」

「ん。授業中寝るから大丈夫」

確か今日からテスト期間が迫っているということで、大体の授業はその復習をするだろうから寝てしまおうと思っていた

そんな私に、莉子は少し呆れながら笑った

でも、私は甘い思考をしていたと後から後悔する






「……響、大丈夫?」

四時間目がやっと終わってお昼休みになった教室は少し賑わっていた

けれど、今の私にはそんな元気はない

何故なら私はこの四時間目まで起きていたからだ

「…もー、最悪」

「復習、ちょっとしかしなかったもんね。しかも四時間目までずっと;;」

「んー、今なら寝れるのにぃー」

「それは駄目!ちゃんと食べないと午後保たなくなるよ?」

「…………次は体育じゃん…;;」