俺は、他と違う響に更に興味が湧いた

逃げようとした響に俺は腕を掴んで離さなかった

そうしたら、響にあっという間に転かされていて少しの殺気と荒い言葉で突き放された

本当にあっという間で……俺は暫く横になっていた

「……何してんの?圭」

「…空太…」

いつまでそうしていたかは分からない

だが、多分一時間はたっていないだろう

莉子と別れたらしい空太が俺の方に近寄って来て座り込んで覗いてくる

「ん?」

「…俺は決めたぞ。響を絶対俺の女にする」

「えっ?響って…さっきの女の子?安藤さんの友達の!?」

俺が響を女にするというと、空太は驚きパニックになる

普通ならここで「ウゼェぞ、空太」とか殺気を出して黙らす俺だが、今はそんな事どうでもいいとさえ思える

それよりも今は、どうしたら響を俺の女に出来るのかを考えていた

「……なぁ、それはさて置きさ?いつまでそうしてんだよ、圭;;」

未だ倒れている俺に空太は呆れながらみていた

仕方ないので俺は立ち上がった

流石に歩道でずっと横になっているのはどうかとも思ったからである

「んで?響ちゃんをどうやってオトす気」

「…とりあえず、毎日会いに来る」

「その格好で?かなり目立つんだけど」

「煩い。…ちゃんと隠す」

空太は目立つと言うが、そんな俺を無理矢理連れて来たのは誰だとツッコミたくなる

だが、空太が無理矢理連れて来てくれなかったら響には会えなかったと思った俺はその事には触れなかった

「……でも、圭が“あの人”以外に執着するのって珍しいよね」

「…ああ、そうだな」

空太の言う“あの人”とは、俺にとっての“憧れの人”である

俺はあの人のようになりたくて、毎日努力をしていた

いつか会えた時に、あの人と勝負がしたくて

でも、今ではどこに居るのかさえ分からなくなってしまった

探してはいるがなんの手掛かりも情報さえなく、あっという間に一年がたった

「…“あの人”のことはもう諦めたの?」

「いや、諦めない」

「……二頭追うものなんとらやって、聞いたことない?」

「知らねーよ。俺は、欲しいものが手に入るまで諦めない」

「はぁー、ま、別にいいけどさ」

また呆れながら空太が溜め息を吐く

そういえば、空太とあの莉子という女は上手くいったのだろうかと思い出した

「…お前は?上手くいったのか」

「そりゃあ、勿論!明日も会いに来るつもり♪」

浮かれ顔の空太に何故かイラッとした俺は、空太の足を脚蹴りしてやった

「い、痛い!なにすんの!?」

「なんとなくだ」

「理不尽だ!;;」

俺達はその後、車の迎えを呼んで倉庫に帰った

また明日、響に会いに行こうと密かに思いながら…