歩く足を止めた圭に私は振り返って話すと、何故か圭は口元を手で隠して肩が震えていた

不思議に思って首を傾げていると、風がフワリと吹いて圭の被っていたフードが取れた






「お前、気にいった。俺のモンになれ」






圭は真っ直ぐと私を見つめてそう言った

フードで隠されていた瞳はカラコンなのか綺麗な黄色で、短い髪の白銀色とよく似合っている

笑っていた圭にとてもよく、似合っていた

「…響?」

「っえ?」

「どうした」

ジッと見つめて固まっていた私に圭が近づいて来て呼ばれるまで気づかなかった

「あ、いや……圭が急に変な事言うからビックリして…」

「変な事?俺は真剣だけど」

「いやいや!有り得ないし!」

なんとか誤魔化したけれど、圭の言葉に私は否定した

いや、だって!今思い出したけど圭って“黒龍士”の総長じゃん;;

白銀の髪に黄色の瞳、それに右鎖骨にチラリと見えた刺青に私はそう確信した

「なんで?」

「なんでって…;;」

「つーか、響に拒否権ねぇからな」

「…はぁー;;兎に角、私はやめといた方がいいから絶対!」

「意味わかんねぇ。もう決めた」

頭を抱えて私は溜め息混じりに忠告したが、圭はまるっきり手を引く気配がないらしい

もう話しても無駄だと私は思って圭に「じゃ、もう関わらないでね」と言って帰ろうとした

が、私の腕を掴んで帰さないというように圭が離さなかった

「…離して」

「離したら逃げるだろ」

「~~~離せって言ってんだろーが!!」

ついにキレた私は、掴まれた腕の反対の手で圭の手首を掴み返して足を圭の後ろ足に引っ掛けて派手に転かした

「っ!?」

「オイ、よく聞けよ餓鬼」

転かした圭は仰向けになり、私はそれに顔を近付けて少しだけ殺気を露わにした

「なんでもかんでも自分の思い道理になると思うな。それに私は“モノ”じゃない」

「………」

「それと!莉子になんかあってみろ?…テメェら“黒龍士”の野郎全員半殺しだ」

固まる圭に私は言うことを全て言ってその場から去った