「ただいま。」
誰もいない家に、『帰ってきたよ、』とあいさつをした。
バサバサと雨を落として、玄関で傘をくるくるとたたんだ。
『お帰り』
くまのクーちゃんは、いつだって私を受け入れてくれる。
茶色い、思わずほおずりしたくなるような、私の唯一の『相棒』は、5歳くらいの時に、お母さんが買ってくれたもの。
「クーちゃん、今日ね、変な人に会ったんだよ」
日向さんについて、受け身担当の相棒クーちゃんに、今日おこったことを話した。
背が高いけど、私と同い年くらいの人に、突然話しかけられたこと。
その人の名前は、『日向 蒼』という名前だということ。
傘を私に持たせたまま、土砂降りの中帰っていったということ。