プリズム!

あの事件が、二人を引き裂いて離れ離れにした。

だが、それらが全て解決した今も尚、何故離れ離れでいなくてはいけないのか…。

八年前とは状況も違う。それは分かっているのだ。

だが…。


自らの想いに沈んでいた雅耶の耳に。

夏樹の思わぬ言葉が聞こえてきた。


「え…?でも、ふゆちゃんは4月からこの家に戻って来るよ?」




それから、十数分後。


「ほらほら…いつまでそんな仏頂面(ぶっちょうヅラ)してんのよ、雅耶クン♪元気出しなさいって」

リビングのソファに座り、腕を組みながら頬を膨らませている雅耶の背中を(なだ)めるように長瀬がポンポンと叩いた。


雅耶を間に挟んで、男三人大きなソファに並ぶように座っていた。

夏樹と清香は片付けの為、今はキッチンに立っている。


「…別に…」

まるで子どもの頃と変わらないその雅耶の拗ねた様子に、冬樹は思わず吹き出して笑った。

「悪かったよ。雅耶にホントのこと言わないでいて」

昔の、楽しいイタズラを思いついた時のような表情を見せる冬樹に、雅耶は少しだけ機嫌を直すと口を開いた。

「…何であんなこと言ったんだよ」

「あんなこと?ああ…『今は雅耶がなっちゃんの隣にいてくれるでしょう?』っていうやつ?」

「そう。あれを言われた後、俺は凄くショックだったんだ。もう、自分は関係ないってお前に言われた気がした…」

拗ねた表情から僅かに落ち込みの表情へと変える雅耶に、冬樹はフッ…と小さく息を吐くと、微笑みを浮かべた。

「ごめんね。それはね…雅耶にカマ掛けたんだよ」