プリズム!

『そんな夏樹ちゃんには感謝してもしきれないしさ、お詫びと言っては何だけど、雅耶クンに朗報ーっ♪』

何故だか電話の向こう側で楽しげな長瀬に。

「…朗報…?」

『お前、この後クラスの当番だろ?』

「あっ!ヤベッ!忘れてたッ。もうすぐ時間じゃないかっ!」

時計を見ると、交代の時間まであと10分もない。

『…だろ?だけどさ、雅耶の代わりに神岡クンが入ってくれるって交渉成立したからさ♪安心したまえ!』

「へ…?力が…?」

聞き返した途端、電話の向こうから別の声が聞こえてくる。

『何でだよっ!長瀬!!俺はそんなこと一言もッ!!』

『なーに、ケチくさいこと言わないの!愛しの夏樹ちゃんの為じゃないっ!』

『うッ!でも、それとこれとは関係ないだろーッ!』

長瀬の笑い声と共に、横から力の怒鳴る声が聞こえて来た。


「………」


『とにかくさ、そーいうことだから。コッチ気にせず夏樹ちゃん、早く見つけてやれよ』

「長瀬…」

後ろでは『何で俺が…』と、未だブツブツと力の文句が聞こえていたが、実際今クラスの方に戻る訳にはいかない。

「サンキュ長瀬っ!力にもお礼言っといてっ」

『りょーかい♪』

そうして電話を切ると、雅耶は場所を移動しながら再び夏樹の姿を捜し始めるのだった。