プリズム!

(雅耶は仕事なんだ。抜けられないのは仕方ないだろう?)


そんなの納得している。…している筈なのに。

雅耶の隣に並ぶ、早乙女さんの綺麗な顔が頭から離れない。

腕を絡ませて笑顔で歩いて行く二人の姿が、目に焼き付いていて…。

胸に嫌な痛みを引き起こさせる。

「……っ…」


『ヤキモチ妬いちゃうのは別に悪いことじゃない気もするけど。俺は、(むし)ろ夏樹にヤキモチ妬いて欲しいし…』

『ヤキモチを妬くってことは、それだけその相手のことが好きだからだろう?』


先日、雅耶が言っていた言葉だ。


(でも、イヤだよ。オレは嫌だ…)

こんな…(みにく)い気持ちは、知らない。


胸の奥が痛くて、苦しくて。



何故だか、涙が出て来そうだった。



オレは以前…冬樹の時、男同士の『友人との距離感』と『男女の距離感』の違いに気付いたことがある。

あれは雅耶が唯花という女の子に告白され、返事を保留のまま少しの間付き合っていた時のことだ。