「…でもさー、早乙女さんとあの成蘭の男の子…。超イイ雰囲気じゃない?」


(早乙女さんと…男の子…?それって…もしかして…)

思わず聞き耳を立ててしまう。


「ああ。あの背の高い一年生の子でしょう?えーと…確か、久賀くん?って言ったっけ?」


(…やっぱり…。雅耶のことだ…)


立ち尽くす夏樹の耳には周囲の喧騒は消え失せ、その二人の会話だけが妙にリアルに届いて来るのだった。


「そうそう。私さー、早乙女さんのああいう所初めて見たよ。普段はしっかり者のイメージで、皆が早乙女さんに頼りきってる感じあるけど、男の子にはあんな風に甘えたりするんだねー。ちょっと意外だったなぁ…」

「あー…まぁ確かに。でも、何だかお似合いの二人じゃない?あの二人を見てたら、年下彼氏も良いなァなんて思っちゃったよ」

「良いよねーっ!私達も頑張って探しちゃいますかーっ?」

「あははっ良いね、それー…」


「………」

楽しそうに会話を弾ませている二人を見送って。

夏樹は一人、その場に呆然と立ち尽くしていた。


『お似合いの二人』

その言葉に、先日ROCOで笑い合っていた二人の姿が頭を過ぎる。

(…確かに、お似合い…なのかも知れない…)