「卒業したくないなー」
「卒業する前にイケメンの彼氏ほしかったよ..」

帰り支度で騒がしい教室で誰かが言った。

ーーーーー

私も恋人がほしいと思う時がある。
でも年下にも同級生にも興味なんてない。
先輩方は既に卒業しておりもう接点もない。
最後の選択肢の先生もなし。
禁断の恋なんて興味がない。

ガラガラ

「まーたお前か」

思いふけっていると、もう誰もいない教室に若い先生が入ってきた。

「門を閉めるからさっさと帰れー」

私はその言葉に返事をせず、校門の鍵を閉める先生と一緒に校門を目指した。

「卒業したらさー、堂々と告白するね」

前置きなしの言葉。
緊張で無意識に声が大きくなる。
そんな私の言葉を先生はただ静かに聞いていた。

「なにも言わないで、わかってるから。これはただの独り言」

答えは分かっているから。

「それじゃぁ先生、さようなら」

逃げるように校門をでた。