ランドセルを勉強机の横に置くと、机の上の寄せ書きに目を落とした。

それは、今度3月でお別れになる美来への物だった。

美来は、小学校を卒業と同時に両親の都合で都市部の県に引っ越すことになっていた。

これまで仲良くしてくれたお礼にと、地区の5人で寄せ書きを贈ることにしたのだ。

他の4人は、みんな小学校の隣の中学校に進学する。

だから、これまで通り仲良くできるかもしれない。

でも、やっぱり1人減ると、寂しいものは寂しい。

ふと顔を上げて感傷に浸った。