ある晴れた昼過ぎのことだった

何をやるでもなく、ただ空を見上げて煙草を吸っていた

自分らしくないくらいに青々とした空を見ていると、目の前の駐車場にシルバーの車が一台止まった

丁度自分が座っていた所がコインランドリーだった為に、「ああ、洗濯物か」と思って少しだけ隅に寄る

案の定、車から降りた男達は(三人くらいいた)洗濯物らしき物を持って此方に近づいてきた

「ったく、なーんで俺らがこんなこと…」

「……仕方ないだろ。アレには逆らえられない」

「まぁねー。でも、怒った顔もなかなかそそるね♪」

金髪の人は面倒くさそうに溜め息を吐いて茶髪のチャラ男に呆れた顔を向けていた

もう一人は黒髪で無表情に洗濯物を持っていた

(…楽しそうだなー)

ふと、彼等の会話を聞いてそう思った私がチラリと通り過ぎる彼等をみた瞬間

パチリと一人の無表情男と目があってしまった

無意識に軽く会釈して直ぐに視線を逸らしたが、内心では少し動揺した気持ちを落ち着けようと必死

(何アレ…どっかのモデル?)

間近でみた彼等の容姿は一般人ではないように整った顔とスタイルのいい感じだ

特に惹かれたのがあの無表情な人

少し目元が見え隠れする前髪が風になびいて揺れ動き、その髪がサラサラなことを示す

スッとしたスタイルに、けれど華奢な感じでもなくて…素直に”カッコいい“と思えるような魅力的な感じで、私は少しだけ羨ましいなと思った

(…ま、私には関係ないけどね)

詰まらなさそうに煙草を吹かしてまた空を見上げた

このまま、横になって眠ってしまいたいくらい心地よさに私は軽くウトウトし始めた

ブーッブーッブーッ

そんな時、私の眠気を覚ますかのように携帯が電話を知らせる

着信音相手をみると”お店“と書いてあり直ぐに電話に出た

「もしもし」

《あ、リィナちゃん?今日はゴメンね~。次、いつ入りたい?》

「次ですか?…そうですね、木曜日は空いてますか?」

《んー、ちょっと待ってね。今調べるから………うん、空いてるよ》

「じゃあ、その日でお願いします。いつもの時間で」

《オッケー。じゃあまた事前に電話頂戴ね》

「はーい」

プツンッ

”お店“からの電話が終わって、一息つこうとしたら煙草がもうなくなっていたので消して次の煙草を取り出した