5分も漕いだだろうか。
山道が切れ、開けた道に出て、下りと平地になった。


「こうなったらこっちのモンや」


さらに加速する。
やがてワンボックスカーに追い付いた。


「な、何かえらい早さで自転車が来てますけど」


ルームミラーで確認した運転席の男が驚く。


「ほっとけほっとけ。こっちは車や。それよりこのお嬢さん、どう料理する??」


3人組だ。
助手席には高校生くらい、運転席と、後部座席の男は20代3人とも日に焼けたそれなりの体格をしている。


薄暗いルームライトの中、咲希は口と手足にガムテープを貼られ、後部座席に横にされていた。


「名札に櫻って書いてるな。結構お嬢なはずや」


後部座席の主犯格らしい男がジャージの名札を見る。


「そらええわ。ちょっとイタズラしてから追加で金取るか」


ニヤリとする3人。


「う~っ、う~っ!!」


咲希は泣きそうになって身をよじる。


突然、運転席の視界が塞がれた。樹荏がタオルを叩きつけたのだ。

「うわっ!?」