語り屋の 語りたる 語り物






そびえ立つ円形競技場。
地面から、かなりの高さがある客席の一角で、イーザ達はショーを見物することとなった。

至る所に松明が飾られ、その熱気と、人々の狂気じみた興奮で、コロシアム 場内は凄まじい暑さとなっていた。


マッダーラの挨拶があってから、
普通の芸らしい芸から始まったが、

次第にエスカレートしていき、
明らかに無理難題な内容を求められ、

逆らえず、失敗して潰れていった。


その度に客席からは異様な歓声があがり、ますます熱気が上がった。


地面が血で染まり、
ある程度の芸が終わると、

一旦団員は引き、場内はガランと空いた。

そこに、1人の少女がでてきた。

血濡れた地面に負けない、目をみはるような
赤いドレス、緋色の瞳と

漆黒の髪をもつ、

サーシャだった。