語り屋の 語りたる 語り物




あの大きな川は、
身を清め、飲み水ともなる、いのちの水であると同時に

身を預ければ、浄化され、赦され、あの世まで運ぶものともされていることから、

「いのちと終焉の川」
と呼ばれていた。


サーシャが身を投げた、ということは
死を選んだのだ。

だが、その死を真っ向から否定したイーザに、
声無き声でありがとうと言った。


イーザは今更になって、
自分が何故助けてしまったのか、

何故奴隷とわかってからもあんなことを口走ったのか、

そして何故サーシャに礼を言われたのかを疑問に思った。