付き人と共に、昼の商店を練り歩き、飯をとり、奴隷にも餌をあげて、少しずつ活性してくる街を肌で感じながら過ごした。
イーザは、心の奥底で昨日のことを振り返っていた。
ーーー「…戻れ。
それか、やれるものなら生きながら逃げ切れ。
死に安息を求めるな。
人の生き様は死に様で決まる」
昨日に会った、混血奴隷のサーシャは、
戻ることを選択した。
マッダーラからも
奴隷の刻印からも
逃げられなかったのだ。
川で流していた血は、あの全身に繋がれた鎖が身に食い込んでできたものだったのだろう。
身を繋ぐ鎖が外されても、
恐らく骨の髄まで染み込まされた奴隷の恐怖で、
自由になれなかったのだ。
その絶望のゆえに、
川に身を賭したのだろう。

