マッダーラは、血走った小さな眼を睨ませていたが、ふぅ、と大きく溜息をつくと、諦めたように
「わかったわかった」と手を挙げた。
「商人の分際で、そんなふざけた態度のやつは知らないね。
…で?金はいくらだ?」
イーザはほくそ笑んで、怜悧(れいり)な顔を歪ませた。
「こんなに頭が鈍い客も中々知らないさ。20人、内訳はお前の注文通り。
2500ドール。」
「…とことん調子に乗りやがって。べらぼうな金額じゃねーか。ふんだくるのもいい加減にしろよ」
「商人の言い値にケチつける客は、こちらからも御免だ。」
小競り合いのなか、鎖の忌々しい音がなった。
赤いドレスの女が動く。
そちらに眼をやって、イーザは思わず口をつぐんだ。
「昨日、俺が死ぬほど抱いたからな…やっと動けるようになったか。
サーシャ。鎖の音を黙らせろ」

