莉子「…え?!

   じゃあ、歩美がいなかったのは、

   未緒のことを

   呼びに行ってたからだったの?!」



歩美「そーよ?

   だって、あたし一人じゃ

   どーにもならないことなんて、

   分かりきってるもの」



さすがとしか、言えません…。

気が利くのは、

歩美の長所だよね〜。




結局、あの後未緒とは分かれて、

教室に戻ってきた。

そして、

教室にいた歩美に状況を話している。


歩美「ていうことは、

   美緒ちゃんと莉子は、

   付き合ってる

   ってことになってるのね」


莉子「…うん、

   絶対、すぐ広まっちゃうよ…」

歩美「まあ…

   美緒ちゃんが守ってくれるわよ」 


莉子「え?

   美緒には無理だよ〜」

歩美「ふふっ。

   わかってないわね〜?

   美緒ちゃんのこと」

莉子「わかってるよ!

   女の子が大好きな最低な奴!」

歩美「……はぁ」


ため息…?!

幸せが逃げちゃうよ?!


なんて、変なこと考えてる

あたしのおでこを

歩美がデコピンした。


歩美「ほら、メールきてるわよ?」

莉子「ん?……ほんとだ!

   気づかなかったー!

   誰だろ…?…………」


メールは、ママだった。





ママとパパは、

ただいま仕事で海外に行っております。


二人共、ばりばりの仕事人。


あたしたちが高校生になったから、

アメリカで実力を試したいと言って、

すぐさま飛んでいった。



だから、あたしたちは

子供だけで暮らしてる。


そんなに連絡のこないお母さんから、

メールなんて、どーしたんだろ?

不思議に思いながら、内容を見ると、

その文面にあたしは驚愕…。


【莉子へ

  やっほー!

  元気にしてる?

  あたしの大事な娘さんよ!


  お母さんたちは、健康に楽しく暮らし  ています。

  翼に、寂しかったら

  電話しなさいって言ってるのに

  してこないのが、今の悩みです…。】

ぷっ…

ほんとに元気そうでよかったよ!笑

この明るい性格は、

未緒とホントに似てるんだよな〜。
  
 
【と、まあそんなことは置いといて…!

  実は、

  明日誕生日を迎える莉子に

  大事な話があります。】
 
覚えててくれたんだ!

誕生日のこと!

ていうか…大事な話?







【それは、莉子の婚約者についてです】
  






…え。

こ…ん…やく?

なんのこと…?

【実は、

 莉子のお父さんとお母さんはね、

 お金持ちだったの。

 それで、莉子の家系には、

 生まれた時に婚約者を決める

 っていうしきたりがあるの。

 だから、もちろん莉子にもいるの。



 しきたりっていっても、

 絶対に結婚しないといけない

 わけじゃない。

 けど、

 せっかく莉子の

 お父さんとお母さんが

 選んでくれた相手なんだから、

 会ってみなさい。



 婚約者の男の子は、

 今日の放課後に

 家の近くのファミレスに

 呼んであるから!
  




 長くなったわね!

 びっくりしたと思うけど、

 これは現実だから!笑

 それじゃーね】




今日、

エイプリルフールじゃないよね…?

あたしに婚約者?!

家のしきたり?!


意味わかんない!

それに、今日会うの?!

いきなり過ぎでしょ!



歩美「莉子?どうしたの?」


歩美がパニックになってるあたしの顔をのぞく。




莉子「あたし…結婚するかも」





わけがわからなくて、

そんな言葉が口から出ていた。


もちろん、それを聞いた歩美はもっとびっくり。



歩美「結婚?!

   ちょっと!莉子!

   説明しなさいよ!!」



でも、あたしにその声は、聞こえてなかった。