「……ん?」

「おはようセラ。お客さんだよ。」

 朝、外から聞こえる音とクロの声でセラは目を覚ました。

「…客?」

 セラは立ち上がると結界の外まで歩く。

「誰が来ているの?」

「昨日集団リンチにあっていた子だよ。」

 (リンチ?……あぁ。)

 思い出すと同時にセラは結界を抜けた。

「あ、セラ先輩!」

 攻撃を警戒して銃を忍ばせておいたがその必要は全く無かった。

 セラの目の前にいる色素の薄いくせっけの少年は何も持っていない。

「…あなたは」

「ユウです!河葵 悠!」

 その元気の良い大声にセラは顔をしかめる。

「そう。あなたはいったい何をしに来たの?」

「俺、先輩に一目惚れして!」

「………は?」

 全く想像していなかった言葉に驚く。

 そして少年、ユウの頭を心配する。

 (頭でも打ったのかしら。それとも馬鹿なのか。)

「セラ先輩!好きです!」

「私はあなたのことを知らないのだけれど。」

「ユウです!15です!バスケ部でした!」

 少しでも自分の事を知ってもらおうと必死に自己紹介をするユウ。

 残念ながらセラはほとんど聞いていない。

「あの…」

 ドカァァン!