『……こんにちは皆さん。

   さぁ目を瞑ってください。

   そして目を開けて…
 
 ほら皆さんの世界は今消えました。
 
   架空世界と化しました。 
 
 これから皆さんには現実に戻るため戦ってもらいます。

 まぁ…説明とかその辺に掲示板あると思うので…』

 そこで放送は途切れる。

 そして1人屋上に佇む少女はらしくなく叫んだ。

「この世界の説明するなら全部最後まで言いなさい!」

「だから掲示板で説明するんだろう。」

 少女の隣の黒髪に黒い服を着た少年が言う。

 架空世界となったと言っていた放送の直前突如少女の前に現れた少年の存在を少女は比較的容易に受け入れた。

 少女はありきたりな現実にうんざりしていたのだ。

「…私とあなた以外の人間が見当たらないのだけれど。」

 さっきまで屋上には少女以外にも沢山の人間がいた。

 架空世界アナウンスが流れてからいなくなってしまったが。

「体育館の方に集められてるよ」

「私は集められないのね。」

「この世界での君の戦闘能力は1、2位を争うレベルだからね。」

「…そう。」

 少女は浮かない顔で曖昧に返事をする。

 戦闘能力という言葉により戦ってもらいます。と言っていたのを思い出したのだろう。

「現にあそこにも1人いるだろう。」

 少年は中庭の方を指でさした。

 (本当に架空世界なのかしら。それにしてはあまり変化を感じられない)
 
 建物自体はあまり変わっていないが空は青ではなく銀色になっている。

 雲ではなさそうだ。