警察署では

三人とも別々の
取り調べ室に入れられた。

まるで自分は悪くない、
と言った風に、
饒舌に経緯を語り、

あえてマジックミラーなどに
興味を持ってみせる俺に
刑事さんが、

おい、警察なめるなよ、

と、凄んだのは、
効果的だった。

そこでやっと、
俺は自分が仕出かした事に気付き、
肝を冷やし始めた。

事情を説明したところで、

君の想いはともかく、
やり方が間違ってるぞ。

案の定、そう説教された。
そんな事は、
言われなくても分かっていた。

でも仕方なかったんだ。

その身勝手な想いが変わる事は
なかった。

そして、
とりあえず各親御さんに
迎えに来てもらう事となった。


母さん、怒るだろうな…
と思ってると、

『タッカッシィッ!!タカシィっ!どうしたのおおおっ!』

まずはイシザキの母の、
ヒステリックな声が廊下に響いた。

『あっ、ママ…ゴメンなさい…』

そう言って泣きだしてスゴスゴ出てきたイシザキを、俺はダセェと思いながらも、少し悪い事をした気にもなる。

次に、
俺のオカンが溜息まじりに、

『アンタ何やってんのよ…』

そう言った母に
ゴメン意外の言葉は
思い浮かばない。

母のひと言は、
刑事さんのどんな言葉より、
自分の愚かさを教えてくれた。