卒業式の日、

校門の前で馬鹿な写真を撮っては
友達とはしゃいでると、

ホリちゃん達がやってきて、

卒業おめでとうございます!

と言ってくれて、

ホリちゃんは他の後輩に
背中を押される様にして、
俺の前へ1歩出た。

え、どうしたの?

『あの、先輩の第二ボタン貰ってもいいですか?!』

え、いいよ、何?
貰ってくれるの?笑
…あ、ありがと。

と言って手渡した。

『だって誰も貰ってくれないと、
先輩可哀想だし(笑)』。

あ、助かるかもな…、
と俺は自嘲した。

『ずっと応援してるけど、
ケンカとか止めて下さいね。
似合わないから!』

ヤンキー一直線みたいな
ホリちゃんから、
ケンカ止められるとかな、

と笑ってみせると、

『…先輩の優しいトコ、
好きなオンナも居るんですよ…。
リカ先輩の事ばっかりで
気付いてないんでしょ。』

と言って、俺の胸を、
ドンっ、と肘で突いて、

俺はウッ、
と声を漏らし、
何の事か分からないまま、
苦笑いしてみせた。


ホリちゃんも笑顔で、
第二ボタンを握りしめた拳を
高く突き上げ、

『ヤるなら勝てよ!先輩っ!』

と言って、

友達たちと、
きゃっきゃと
走り去っていった。



余談だけど、
俺が、ホリちゃんの想いに
気付いたのは、

それから5年以上経った、
彼女が子供を産んだ後の事だった。


『あの後アタシ、
ホントは凄く泣いてね。
でも、先輩のリカ先輩への想いには、
きっと叶わない、って思った。』

彼女はその後、
旦那と店を継いだ、

と聞いている。