夏、 コンクリートとクーラージャングルである、都会の熱帯夜は早くにやって来る。そんな七月の半ば、レンタルビデオ店から自宅への夜道を歩く高校生、平賀 光一 16歳。特に派手でもなく、かと言って古風でもない、普通の現代男子高校生。
「この映画、見たかったんだよなぁ…」
機嫌良く歩いている光一の前に人影が…。
「おおっ、光一やんか」
「あっ、猿渡先輩」