盗聴器を探索に来た男性に聖がお金を払い、男性は帰って行った。



「盗聴器を外したからと言って、安心したらダメですよ。1人で行動しないで友達や彼氏と一緒に行動して下さいね。もし異変を感じたら警察に相談に行くか、名刺を渡しときますので、ここに連絡して下さい」



男性は帰り際にそう言って帰って行った。


しかも“彼氏”と言った時に聖の方を見たのを私は見逃さなかった。


聖は彼氏じゃないから。


まぁ、聖が学校の先生で私が教え子だと言わなきゃわからないだろうな。


側から見りゃ、彼氏と思われても仕方ないのかもしれない。


でも、そう勘違いされるのは、こっちにとったらいい迷惑だけど。


私は隣にいる聖を見上げた。


それに気付いた聖が“何?”みたいな顔をして私を見下ろす。


私は首を軽く左右に振ると、聖から目を逸らし、リビングへ戻った。