「桐野!」
聖の私を呼ぶ大きな声が廊下から聞こえてきた。
声を出したらダメじゃなかったの?
私はソファから立ち上がり、廊下に行く。
「もう声出していいぞ」
「…………はぁ」
そう言われて思いっきり大きな溜息をついた。
「脱衣所と風呂場、それからトイレから見つかりました」
「えっ?」
男性が手の平に乗せた黒い小さな物体3つ。
これが盗聴器?
換気扇の点検は確か、お風呂場とトイレだった。
点検しているところを私は見ていない。
じゃあ、やっぱり……。
でも……。
まさか自分が……というショックと、まだ信じられない自分がいた。



