聖は本棚の資料を整理、私は雑巾で棚の埃を拭いていた。
お互い無言。
聖とはいえ、お互い無言で作業をするのは気まずい。
…………あっ!そうだ!
「聖?」
「あ?」
「換気扇の点検来た?」
本棚の資料を整理している聖にそう声をかけた。
「はっ?換気扇の点検?」
「えっ?来てないの?」
棚の埃を拭く手が止まる。
「そんなもん来てないぞ?いつの話だよ?」
あれ?
「私が倒れて早退した日だから、一昨日だよ」
聖は何か考えるように一点をジッと見つめている。
「聖?」
声をかけても返事がない。
聖がどれくらい黙り込んでいたのか……。
いきなり私の方を向いた聖の顔は鋭い目をしていて、なぜか胸がドクドクと激しく鳴り始めた。
「ひ、聖?」
恐る恐る声をかけてみる。
「桐野?」
「えっ?ん、ん?」
「今日、1人で帰るな。俺と一緒に帰れ」
「はっ?何で?」
「絶対に1人で帰るな」
意味わかんない。
換気扇の定期点検の話をしただけなのに。
何でいきなり……。
「ちょっと出て来るから……」
聖はそう言って資料室を出て行った。



