それからしばらくして、再び玄関のチャイムが鳴った。
インターフォンを出ると……。
「おーい!生きてるか?」
聖の顔がカメラに映っていた。
しかも笑顔だし。
「死んでたら出られないでしょ」
「うん、まぁ、そうだな」
そう言った聖の顔は相変わらず笑顔で、ムカついてインターフォンの液晶画面を殴りたい衝動に駆られた。
「なんか用?」
「いや、生きてるかなと思って……って言うのが冗談だけど。いろいろ買って来からそれを渡したくてな」
「あ、ありがとう……。ちょっと待ってて」
「おう」
水島先生に買ってもらったからいらないとは言えず……。
私はインターフォンを切ると、玄関に行きドアを開けた。
「ほれ」
聖がスーパーの大きな袋を2つ差し出してきた。
「こんなに!?」
「飲み物とかゼリーとか……あと、栄養をつけた方がいいと思って肉とか野菜とか……」
「ありがとう」
「いや、じゃーな、また明日。早く寝ろよ」
「うん……って、あっ!そうだっ!」
聖に伝えたいことがあったんだった。
換気扇の点検の件、言わなきゃ。
……と、思ったけど、遅かった。
もう玄関を閉めたあとで、わざわざ聖の家に言いに行くのめんどくさい。
隣なんだけど。
まぁ、いっか。
点検に来たらわかるし。