「桐野?」
「はい」
「ちょっと、コンビニ寄っていい?」
「あ、はい……」
水島先生の車は幹線道路沿いのコンビニの駐車場に入った。
「ちょっと待ってて?すぐ戻るから」
水島先生の言葉にコクンと頷く。
水島先生はシートベルトとは外すと、エンジンをかけたまま車から降りてコンビニに入って行った。
「はぁ……」
緊張の糸が切れたのか、口から深い溜息が漏れた。
でもしばらくして水島先生が車に戻って来た時に、再び強い緊張感に襲われた。
「はい」
水島先生がコンビニの袋を私の膝の上に置いてきた。
「えっ?これ……」
コンビニの大きな袋2つ分が私の膝の上に乗ってる。
「それだけあれば当分は大丈夫でしょ?」
「あ、えっと……」
コンビニの袋の中をチラッと見る。
パンやらカップ麺、カップスープにおにぎり、コンビニで売られている食料品やお惣菜の全てが入ってるんじゃないかと思うぐらい沢山の食べ物。
それからペットボトルのお茶にジュースの飲み物。
「まぁ、カップ麺とかは、あまり食べない方がいいんだけど、何も食べないよりかはマシでしょ?」
「お金、払います!」
「いいよ。生徒からお金なんてもらおうんて思ってないし。俺からのプレゼント」
プレゼント。
その言葉に胸がキュンと高鳴った。
私はコンビニの袋の持ち手をギュッと握った。
これが聖だったら、お金請求されるんだろうな。
……って、また何でここで聖が出て来るのよ。
聖と水島先生を比べるなんて。
どうかしてるな、私……。