「もぉ!何でこんなクソ暑い中、体育が外であるのよ〜」
お昼休み後の授業は体育。
1日の中で1番暑い時間。
グラウンドへ向かう足取りも重い。
私の隣で理香がブーブー文句を言っていた。
「しかもお昼食べた後なんて最悪」
「ホントに」
「しかもよ!男子は体育館でバスケだって!まだ屋根があるだけ男子の方がマシだと思わない?」
「そうだね」
「男子の体育のおじいちゃん先生って甘いよね〜。それに比べて、あの新卒教師ってさぁ……」
理香の文句はまだ続いている。
外に出た瞬間、あまりの暑さに一瞬、クラっときた。
「走れ〜!」
グラウンドの真ん中に立っている体育の広瀬(ヒロセ)先生が腕を組み大声で叫んでいた。
その声で、ダラダラ歩いていた女子が一斉に走り始める。
今年、新卒でこの学校に来た広瀬先生。
ショートカットでいつもジャージで、ボーイッシュな人。
「広瀬ってさぁ、絶対に人間じゃないよね。怪物だよ」
理香がそう言ってクスクス笑った。



