「水島先生、お仕事は?」
聖が笑顔で水島先生にそう聞いた。
「まだ少し残ってますが、また学校に戻って来ればいいので大丈夫ですよ」
水島先生も笑顔で聖にそう返す。
「僕はもう仕事が終わったので、僕が送って帰りますよ」
「僕は桐野のクラス担任ですし、生徒を守るのも僕の仕事なので。クラス担任ではない聖先生にお任せするのは申し訳ないです」
ちょ、な、何!?
この展開!
1人の女を取り合う男2人みたいな。
って、自惚れてる場合じゃなくて。
「あ、あの……1人で帰れるんで、いいです……」
あぁぁぁ!!
水島先生の車に乗るチャンスを自ら断るなんて。
なんて勿体無いことを。
でも、このままじゃいつまで経っても帰れないし、さっきまで薄暗かった空は、今は完璧に真っ暗になってるし。



