「桐野が手伝うと言ってくれましてね。僕は生徒にはそんなことさせられないと断ったんですが、ケガしてもいけないですしね」
笑顔でそう淡々と話す聖。
はぁ?
何言ってんのよ!
あんたの方から手伝えと言ってきたんでしょ!
しかも僕って、キモっ!
「それでも、どーしても手伝いしたいと……。だからお願いしたんですよ」
「そうだったんですか。桐野は優しいね」
水島先生はそう言って、私に笑顔を見せたけど、そんなことを言われた私は恥ずかしくて下を向いてしまった。
「でも、もう下校時間過ぎてるから帰りなさい」
「はい……」
水島先生の前を通り過ぎた時……。
「桐野?」
「は、はい」
立ち止まり、水島先生の方に振り向く。
「送って行くから、制服に着替えたらここで待ってて?」
「えっ?」
私は目を見開いて水島先生を見た。
送って行くって……。
それって、車でってこと?
水島先生と2人きりで?
そんなことを思っていたら、再び胸がドキドキと鳴り始めた。



