動かなくなった身体の代わりに、私の胸は凄い速さでドクドクと鳴っている。
ゆっくり振り返ると……。
そこに立っていたのは、水島先生だった。
「桐野?どうしたの?居残り?」
笑顔で近付いて来る水島先生。
こんなダッサいツナギ姿を今一番見られたくない人に見られている。
その場から逃げ出したい。
でも腕は聖に掴まれていて身体も動かなくて逃げられない。
なのに胸だけは相変わらずドクドクと煩いくらいに鳴っていた。
「下校時間はとっくに過ぎてるよ?って、聖先生の手伝いしてたんだ?」
「あ、は、はい」
そう声を出すのがやっとだった。
聖が腕を離す。
と、同時に倒れそうになる身体を足に力を入れて立っていた。
少しでも力を抜いちゃうと倒れそうになる。



