「おまっ!ちょっと待てよ!」
急いで脚立から降りてきた聖は、私の腕をガッチリ掴んだ。
いきなり腕を掴まれて肩がビクンと揺れる。
ムカつくだけの目の前の男に腕を掴まれただけなのに、なぜか胸がドクリと鳴った。
「痛いから離してよ!」
私の腕を掴んでいた聖の手が少し緩む。
その隙に、私は聖から少し離れた。
「いったーい!」
私はワザとそう言って腕を摩った。
「そんなに強く掴んでねぇだろ?大袈裟なんだよ」
聖はそう言って、クスリと笑う。
いやいや、マジで痛いから。
「これ、絶対に明日にはアザになってるよ」
「だから大袈裟なんだよ。てか、見せてみろよ」
「やだ」
「いいから見せてみろ。俺が確かめてやるから」
「いやだ!」
再び私の腕を掴もうとする聖から必死に逃げる私。
「あれ?桐野?」
その時、後ろから私のことを呼ぶ声が聞こえた。
聖から逃げていた身体が止まった。
その時、聖に再び腕を掴まれたけど、そんなことどうでもいいくらいに身体が動かなくなっていた。



