聖 真白がこちらに向かって歩いて来る。
ヤバい。
早く帰らなきゃ。
まるで魔法にかかったかのように足が石のようになって動かない。
彼の後ろについて、周りにいた生徒たちもついてくる。
「おい!お前、暇だろ?」
彼の顔を見ると、眉間にシワを寄せている。
てか、初めて会った時と印象が全く違う。
初めて会った時には、常識的で優しい印象だったのに。
今は口も悪い、性格も悪そうでいいとこない感じ。
しかも私のこと、お前呼ばわり。
「い、いえ、忙しいので……」
目を逸らしたままそう言って、帰ろうと思ったけど……。
腕をガッチリ掴まれた。
「いや、忙しいわけないよな?暇に決まってんだろ?帰っても何もすることないんだろ?」
「はっ?」
顔を上げて聖 真白の顔を見る。
彼はニヤリと笑い、私を見下ろしている。
「手伝え」
「はぁ?」
「俺の手伝いをしろ」
「じょ、冗談じゃない!」
周りにいた女子たちが、私を見てヒソヒソとしている。
今日、あんなことあったのに……。
「聖先生?私たち、手伝いますよ?」
1人の女子がそう言うと、周りにいた子たちも頷いていた。
「君たちに汚れ仕事なんてさせられないよ」
彼女たちに向かってそう言った彼。
もうその言葉で女子たちはキャーキャー言ってる。
私の時と全然、態度が違うんですけど……。
私には汚れ仕事をさせてもいいわけ?
「とりあえず、手伝え」
彼はそう言って、私の腕を引っ張って歩き出した。



