「あぁ、この時が、来たみたいだな……。少しだけ、身体が楽に、なったような気がするよ……」
「聖、消えないで?」
聖の温もりが消えていくのがわかる。
聖を抱きしめる身体の感触がなくなっていく。
「澪?また、必ず、澪の前に、現れるから……だから泣くなよ……笑って、別れよう?」
「嫌だ……」
「ワガママ言うなよ……ほら、約束……」
聖は小指を出してきた。
その指に自分の小指を絡ませる。
もう、ほとんど感触なんかないのに……。
温もりもないのに……。
でもなぜか、ほんの少しだけ温もりを感じていた。
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