彼が指さした玄関。
そこは私が住む部屋の隣だった。
こんなことあるの?
街で偶然会った人と同じマンションに住んでいて、しかも隣同士の部屋だなんて。
「もしかして、隣同士?」
彼の言葉にコクコク頷く私。
「偶然だね」
もう私はコクコクと頷く事しか出来なかった。
「あ、隣に引越してきた聖 真白(ヒジリ マシロ)です。挨拶が遅くなって申し訳ありません」
彼がそう言って頭を下げる。
真白。
男なのに真白。
てか、透き通るような白い肌の彼にはピッタリの名前。
「あ、えっと、桐野 澪、です」
私も自分の名前を言って頭を下げた。
「よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします。わからないことがあったり困ったことがあったら、何でも言ってきて下さいね」
私はそう言って笑顔を見せた。
再び軽く挨拶したあと、私たちはそれぞれの部屋に入った。