晩ご飯を食べ終えた。
「そろそろ出よっか?」
「そうだね」
私はカバンの中に手を入れて、財布を出そうとした。
「あっ……」
「どした?」
「…………これ」
財布と一緒に出したのは鍵。
「鍵?それがどうかしたの?」
「これ、聖先生んちの鍵……」
合鍵を渡されて、聖から突然帰れと言われたあの出来事があってから、ずっと返すのを忘れてた。
「チャンスじゃない?」
「えっ?」
「鍵を返しに行った時に、理由を聞けるじゃん」
「そうだけど……」
「だって、ずっと持ってるわけにはいかないでしょ?」
「うん……」
「返しに行って、ちゃんと理由を聞きな」
「うん……」
そうだよね。
鍵をずっと持ってるわけにはいかない。
いつかは返さないと。
その時に理由を聞いてみよう。
話してくれるかわからない。
無視されるかもしれないけど。



