「新しい恋をしないとね」
私の身体を離した理香はそう言って笑った。
「新しい恋って、失恋したばかりなのに?」
「恋をするのに早いも遅いもないよ」
「そうだけど……」
そんな会話をしながら教室に戻るために、階段を下りて廊下を歩いていた。
「聖先生なんてどう?」
「はっ?」
理香の言葉に廊下に響くくらいの大きな声を出してしまった。
何でいきなり聖なわけ?
「ほら、澪って聖先生と中良さげだしさ」
理香はそう言ってクスクス笑う。
その時、聖に言われた言葉が頭に浮かんだ。
ーーお前が、助けて欲しい時や、悲しくて苦しい時には俺がずっと側にいてやるよ
胸がトクリと小さく跳ねる。
「ないない!聖、先生はないよ」
そう否定したけど、私の胸はドキドキが止まらなくなっていた。
「あっ!噂をすれば……」
「えっ?」
階段から聖が上がってくるのが見えた。
ドクン、ドクンーー。
私の胸はさっきよりも更に大きく鳴っていた。



