その時、屋上の扉がゆっくり開いた。
私も理香もそちらを見る。
開けられた扉の向こうから来たのは、水島先生だった。
「あっ……」
そう小さく声に出た。
凄く気まずくて、思わず下を向いた。
足音がこちらに近付いてくるのがわかる。
私の前に止まった水島先生。
「桐野?」
「はい……」
顔を上げることが出来ない。
「話したいことがあるんだ……。放課後、数学準備室まで来てくれないか?」
「今日は用事があるので……それに……」
私はそこまで言って顔を上げた。
「昨日のことは気にしてませんし、誰にも言わないので安心して下さいね」
理香には話したけど。
私はそう言ってニッコリ微笑むと理香の手を取る。
「理香、行こう?」
「あ、う、うん……」
「失礼します」
私は水島先生に会釈をして前を通り過ぎた。
「桐野!待って!」
水島先生の言葉に立ち止まり、振り向く。
「広瀬先生とお幸せにね」
私の言葉に水島先生は目を見開く。
私は水島先生に背を向け、理香の手を引っ張り屋上を後にした。



