相変わらずシーンと静かな廊下。
水島先生がどこにいるのかもわからない。
もしかして職員室に帰った?
この階は数学準備室の他は使われてない空き教室ばかりだ。
廊下を歩き進めていく。
その時、ひとつの空き教室から笑い声が聞こえてきた。
水島先生の声だ。
間違いない。
声のした空き教室に近付いていくと、だんだんと声が大きくなっていく。
「大丈夫、大丈夫」
そう言った水島先生のハッキリした声が聞こえてきた。
教室のドアに手をかけて、開けようとした時……。
「少しくらいほっといても」
ん?
それって、誰のこと?
私のこと?
ドアを開ける手が止まる。
教室のドアの小さなガラス窓から中を覗くと、机の上に座りながら電話をしている水島先生が見えた。
私には背を向けているから、私がいることに気付いてない。
「あと、もう少しかなぁ。てか、今日には落とせるかもな」
そう言って笑う水島先生。
いつもの水島先生と違って、下品な笑い方。
「作業を手伝って欲しいとか言ったらホイホイついて来るし。昨日もさぁ、車で送ってやって少し褒めたら顔を真っ赤にして。あいつ絶対に俺のこと好きだわ」
胸がドクリと鳴った。
背中にツーと汗が伝っていく。
やっぱり私のことだ。
でも水島先生の言ってる意味がわからない。



