数学準備室に入った途端に足の力が抜けて倒れそうになるのを必死に耐えていた。
昨日のままのプリントが積まれた机。
倒れないように素早く昨日と同じ席に座って、作業を始める。
水島先生も私の前に座った。
それと同時に胸のドキドキが激しくなっていく。
私も水島先生も黙ったまま。
数学準備室にはホッチキスのパチンパチンという音だけが響いていた。
「ねぇ、桐野?」
沈黙を破ったのは水島先生だった。
「はい」
「桐野は聖先生のこと、嫌いなの?」
水島先生はそう言って、チラリと私を見た。
「えっ?い、いや、好きとか嫌いとか……別に……どっちでもない、です……」
「へぇ。聖先生ってイケメンだし、女子から人気あるみたいだから桐野もそうなのかな?って」
水島先生はそう言ってクスリと笑った。
確かに聖はイケメンだけど……。
それに水島先生と同じように女子にも人気がある。
外面がいいのか、学校とプライベートでは性格が180度違う。
私が知ってる聖の性格は最低だ。
そんな聖のことなんて、私は何とも思ってなかった。
てか、逆にウザイくらいだった。



