「ほら、前に車で送って行ったことあったでしょ?」
「はい」
「あの時、聖先生と桐野を見てると、仲良いなぁと思ってね。桐野は聖先生が好きなのかな?と思っちゃった」
水島先生はそう言ってクスリと笑った。
「いえ、大嫌いです!」
私は“大嫌い”の部分を強調してそう言った。
それを聞いた水島先生は声を出して笑いだす。
「そうなんだ」
「はい。名前は真白でも性格は真っ黒ですから」
「桐野って、面白いね」
水島先生の笑いは止まらない。
そんなに笑わなくても……。
私は本当のことを言っただけだし。
「今日はその辺にしようか?」
「はい」
「明日も、この続き頼める?」
「はい!」
明日も水島先生と作業が出来る!
それが嬉しくて、笑顔で大きな声で返事をしてしまった。
「送って行くよ」
「えっ?」
水島先生の言葉で私の顔から笑顔が消える。
「桐野が手伝ってくれたお礼」
「あ、い、いや、1人で帰れるので大丈夫、です」
「遠慮しなくていいから。玄関前で待ってて?」
空はまだ明るい。
だから1人で帰れるけど……。
でも、もう断れる雰囲気じゃないし……。



