途中、黒猫は立ち止まり振り向く。
そしてブルーの目で私をジーと見つめる。
あと少しで触れそうになった時、また走り出す。
そんな事が何回か続く。
まるで私をどこかに連れて行こうとしてるみたいに。
気付くと住宅街の中まで来ていた。
夕方の住宅街はシーンと静まり返っていて、まるで自分が異世界に来たような感覚に襲われた。
また黒猫が立ち止まり、こちらに向く。
そーと近付いていく。
あと少し……あと少し……。
手を伸ばして、黒猫に触れようとした時……。
視界から黒猫が消えた。
その代わり、私の視界に入って来たのは、黒い靴。
…………えっ?
さっきまで人なんていなかったのに……。
突然、視界に入った黒い靴に背筋がゾクリとした。



