「わかったんなら、ちゃんと返事して?」
「…………はい、わかりました」
聖の言葉に男はそう返事をして項垂れた。
「今、ここで会話したことは録音しといたから」
聖はスマホを男に見せる。
抵抗しても無駄だと思ったのか、もう何も言わなくなった男。
スマホをチラリと見て、再び下を向いた。
「あのさぁ、俺、あんたに自立しろだの、仕事探せだの説教じみたこと言ったけど、そんなことどうでもいいんだわ。あんたに仕事が見つからなくても、住むところが見つからなくても、自立しなくても、俺には何の関係もないんだから」
「はい……」
「大学生の時から……18からここで一人暮らししてるってことは、約7年間、親に生活費を出させて甘えてるわけだろ?親に引っ越したいって言えばいいんじゃね?とにかく俺は、あんたがここを出て行ってくれたらいいわけ。だから2週間以内に絶対に出て行けよ」
「はい……」
「話は終わりだ。もう帰っていいぞ」
「はい……」
聖の言葉に“はい”しか言わなくなった男は、ゆっくりと立ち上がった。
「本当に申し訳ありませんでした……」
立ち上がった男は私と聖にそう言って頭を下げた。
そして俯いたままリビングを出て行く。
ーーパタン
玄関の閉まる音がリビングに聞こえてきた。
「はぁ……」
それと同時に私の口から深い溜息が漏れた。



