「…………あのっ!」
私が男に声をかけると、下を向いていた男は顔を上げて私を見た。
その目には涙がいっぱい溜まっている。
「何で……何で、私の家に盗聴器なんかを……」
私の質問にも何も答えようとしない男。
「さっきから黙ってねぇで、何とか言えよ!」
聖の怒鳴り声に再び肩をビクッと揺らす男。
「聖、怒鳴らないで」
私は聖に小声でそう言った。
「だけど!こいつは……!」
「何か、理由があって、ああいうことしたんですよかね?」
聖が何かを言いかけた時に、それに被せるように私は男にそう言った。
「あなたのことが、好きで……」
男は小さな声でそう言った。
「えっ?」
「覚えて、ませんか?」
えっ?
何を?
私は目の前にいる男とは面識はない。
ただ、換気扇の点検に来た時が初対面で……。
だからそう言われてもわからない。
「2ヶ月前に……」
「2ヶ月前?」
2ヶ月前に何があった?
思い出そうとするけど、何も思い出せない。



