「聖、ありがとうね……」
聖を送るために玄関に立った私は、靴を履いている聖の背中にそう言った。
「これ渡しとくから、何かあったら、すぐに呼べ」
靴を履き終えた聖は、私の方を向くと小さなメモ用紙を渡してきた。
そこには090で始まる数字が並んでいて、聖のスマホの番号だということがわかった。
「ありがとう……」
「戸締りしっかりしてな」
聖が私の頭に手をポンと乗せる。
その時、なぜか胸がドクリと高鳴った。
「うん……」
「じゃあ、また……」
「うん……」
聖が玄関を開けて、外に出る。
私も玄関を閉めるために聖の少し後ろをついて、玄関に下りた。
その時……。
エレベーターホールのところが一瞬だけ視界に入ってきた。
…………ん?
えっ?
あの人…………。
マスクをしてメガネをかけている男性。
普通の格好をした男性だけど、それが一瞬見ただけで誰だかすぐにわかった。



