「何でそんなに危機感がねぇんだよ!」
聖のいきなりの怒鳴り声に肩がビクンと揺れた。
眉間にシワを寄せて、切れ長の目が私を捕らえる。
その目は冷たい感じがして、背筋がゾクゾクしていた。
「俺が気付いたから良かったけど、もし気付かなかったら?どうなってたと思ってんだよ!」
何も言い返せない私。
ただ、聖の冷たい目をジッと見ることしか出来なかった。
「何も気付かないまま、生活音をずっと盗聴され続けて、会話とか全部相手に筒抜けで……もしかしたら……」
「…………もしか、したら?」
私はゴクリと唾を飲み込んだ。
「殺されてたかもしれねぇんだぞ?」
聖の言葉に再び背筋がゾクゾクとして、治っていた恐怖が再び襲ってきた。
殺されてたかもしれない……。
その言葉が頭をグルグル回る。
目に涙が溜まっていくのがわかった。
瞬きをするとポロポロと零れていく涙。
肩を震わせ泣く私の頭を聖が優しく撫でてくれた。
「ゴメン、なさい……」
何度も何度も聖にそう言う。
聖の顔を見ると、さっきの冷たい目ではなく、優しい目に戻っていた。



