あの日の向日葵。

｢あっ、あの！太一くん！私は別にいいから田辺さんと喋ってきていいよ！私、1人でも全然いいよ！慣れてるし！！！｣
私は、下を向いて田辺さんと視線を合わせないようにした。
｢たっしかにぃ～！！あんた1人でいるの慣れてそ～wwwほら！太一！本人もそう言ってるんだし、こっち来てよ！｣
田辺さんが太一くんに腕を組んでくる。
｢だから、俺は凪と話したいって言ってんの。聞こえなかった？｣
太一くんはそういった後、無言で田辺さんから腕を離す。
｢な、何よ！？私だって太一と喋りたいし！………へぇ～！！太一の好きなタイプってこんな地味女なんだァ～趣味悪ぅ～(笑)｣
田辺さんが笑う。
その瞬間、太一くんが田辺さんを壁まで追い詰めて、いわゆる“壁ドン”というヤツをした。
か、壁ドンだ。だけど、あんな甘ったるいもんじゃない。
｢佳音？俺の事はいくらバカにしても構わないけどさ。凪のことはバカにすんな。｣
太一くんは怒鳴っているわけではなく、淡々と言う。
だけど、淡々と言うからこそ、怖い。
田辺さんは顔が真っ青になっている。
｢たっ、太一のバカ！！大っ嫌い！！｣
田辺さんは泣きながら教室を出ていってしまった。