あの日の向日葵。

私は1人で昇降口へ向かった。
よし!浮かれない浮かれない。
私は自分に暗示をかけまくる。その時、
「凪!おはよー」
「へっ!?」
そこに居たのは太一くんだった。
「お、おはよ」
チロっと太一くんの顔を見る。
やっぱ、チャラいけどかっこいいなぁ~
『恋愛はいいよ!凪もしなって!!』
さっきの杏里との会話が頭をよぎる。
太一くんって彼女とかいたりすんのかな?恋愛してたりすんのかな?
その時、太一くんと目が合った。
「なに?俺の顔に何かついてる?」
そう言って太一くんは自分の顔を触る。
「ち、違う!ちょっと考え事!」
「あ、そうなの?めっちゃ顔ガン見されてたから何かあったのかと思った!!」
ブンブンと私は顔を振る。
太一くん、絶対、彼女いるに決まってるよ。だって、こんなに地味な私にも優しく声をかけてけれるんだもん。いないはずがない。
私はいつの間にか口から言葉を発していた。
「あのさ、太一くんって彼女とかいるの?」
「え?」
いきなりの質問に太一くんはめっちゃ驚いてる。
………………ん!?私、今何つった!?気づいたら口から出てたぁぁぁ!!!!!!!
「ごめん!今の忘れて……」
「いないよ。彼女」
「え……?あ、そうなんだ!いた事とかある?わ、私は無いからさ。参考までに聞きたくて…………」
何の参考にすんだよ。言ってから後悔する私。
「いない。ずっといない!彼女いた事1回も無ぇよ!悲しい事、思い出させるなよなぁ!」
太一くんが笑う。
「ご、ごめん!私も彼氏いた事ないから!安心して!!」
「あっはは!何それwwwまぁ、お互い頑張ろうぜ!」
「う、うん!頑張ろ!」
「てか、そろそろ教室行こうぜ!」
太一くんは階段の方を親指で指して言う。
「そうだね。行こうか!」
私達は2人で教室に歩いていった。
そっか。太一くん彼女いないのか……。
……!!何ちょっと喜んでんの!私って性格わるっ!!
でも、彼女いないとしても私が相手されるはずないよね。知ってるよ。うん。
けど私、今日めっちゃ大胆な質問したな。
私の中でちょっとだけ前に進めたってことだよね。