after・story

「そういえばなんで知ってたの?」

あぁと君は頷いて何でもないように答えた。

「いや前にさ、帰ったらヨダレ垂らして幸せそうに寝てるなーって思ったら俺の名前呼んでてさ」

「…は!?」

「それで好きとか言ってくれてましたから。そりゃわかるわな」

わなわなと震える拳は抑えることはせず、自由にさせた。
つまるところ君を殴ることを許可した。

「なんてことをしてくれてるの?君は」

極めて静かに抑えて笑顔を作って言う。
『やべっ』て顔をしたって許さないんだから。

「そんな怒んなくても…」

「怒ります。よりにもよってそんな顔見られた挙句寝言なんて…」

「でも可愛かったしいいじゃん」

しれっとこういうことを言ってくる。
しゅん…とうなだれていくせに、私の機嫌を取りに来る。

そしてそれを、ただそれだけで許してしまうあたり私もまだまだ甘い。

「馬鹿」

「知ってるよ」

「君がね」

「知ってる。でも似たもの同士ってことでいいんじゃない?」

つくづく私は君には甘いみたい。