『今日も近藤はいない。これで4日目だ。時間を変えたのかそれとも何かあったのか…』

「え、なにこれ。近藤日記?」
「…うわぁぁぁお!?」

しまった。変な叫び方をしてしまった。

「おっさんみてーな叫び声出すなよ」

よりにもよって、この性悪で有名な明智に。
こっちを見て余裕ぶってにっと笑っている。遊ばれること確定だ。

「近藤って同中の近藤だろ?」
「……小学校も一緒ですけど」
「へぇー…ってえ、なに?まさか小学校の頃からこんなストーカーじみたことして--」
「ちがうから!」

あぁもう、ほんとに最悪…。
なんであたしがこいつのおもちゃにならなきゃいけないの…。

「誰にも言わないでよ?」
「あーあっついなー。こんな日はかど店のアイス食べたいなー」
「……わかったわよ」

駅を出てすぐのアイス屋に寄る。なけなしのお金でソフトクリームを一つ買い、明智に渡す。

「あれ、お前は?」
「お金ないんで。どーぞ」

『ふーん』と興味なさげにパクッと半分まで一気に食べてしまう。少しは味わって欲しいものだ。

「ん」

コーンから2、3センチほど残ったところであたしのほうにずいっと押し出してくる。

「…なに?」
「やる」
「いいよ、あげたんだし」

そう言うと明智は面倒そうに口元に押し当てる。冷たくて、口周りはベトベトだ。

「…強引」
「うっせ」

でも明智なりの気遣い…なんだろうか。おごらせておいてひとりで食べるのは申し訳ないとか?
--可愛いとこあんじゃん。

「何ニヤニヤしてんだよ」
「別にー」

少しくらい、あたしだってそれくらいの余裕あったっていいよね。